こんなことを感じたことはありませんか?
「ときめきがない=ご縁じゃない」と決めつけるべきかどうか、迷う気持ちがあるかもしれません。よくお聞きする声を、いくつか書き出してみます。
- 紹介された方は条件も人柄も悪くない。でも、ドキドキしなかった
- 友だちが「会った瞬間にビビッと来た」と話すのを聞くと、自分は普通なのか不安になる
- 「ときめいたから結婚した」というセリフを、ドラマや恋愛漫画で見すぎたかもしれない
- 一度しっかり感じたいのに、感じない自分が冷たい人間に思える
どれも、無理のないお気持ちだと思います。
私たちはどうしても、「ときめき=恋愛の入口」だと教えられてきました。映画でもドラマでも、恋愛のはじまりは「目が合った瞬間」で描かれます。そのモデルに照らすと、ときめかなかった自分は「終わっている」ように感じてしまいます。
ですが、本当に「ときめき」は恋愛の絶対的な入口なのでしょうか。「感じなければ始まらない」という前提そのものを、一度疑ってみる余地はあると思うのです。
そんなとき、いったん他人の経験談から離れて、「研究者がどう見ているか」を覗いてみるのも、ひとつの整理の仕方です。
今日紹介する研究について──Helen Fisherたちが脳を覗いた話
ご紹介するのは、米国の人類学者ヘレン・フィッシャー氏らによる研究です。
- 論文タイトル:Reward, motivation, and emotion systems associated with early-stage intense romantic love
- 発表年:2005年(その後 2006年・2012年の発展研究もあわせて参照)
- 著者:Aron, Fisher, Mashek, Strong, Li, Brown ら
- 掲載先:Journal of Neurophysiology/Philosophical Transactions of the Royal Society B
ざっくり言うと、「いま熱烈に恋している人」たちに、脳のどこが「使われているか」を画像で見せてくれる機械(fMRI)に入ってもらい、恋人の写真を見たときに脳のどこが活発になるかを観察した研究です。参加者は17名、それぞれ12分ずつ計測しました。
「脳の話」と聞くと急に距離が遠くなる気がするかもしれません。ですが、この研究はとても素朴な問いを扱っています。「恋をしているとき、私たちの頭のなかではいったい何が起きているのか」──ただそれだけです。
脳科学はときに「恋愛は化学反応に過ぎない」と冷たく語られがちですが、フィッシャー氏らの問いはむしろ逆で、「恋愛という不思議な経験を、生き物としての私たちはどんなふうに味わっているのか」を丁寧に覗いてみようというものでした。
研究が明らかにしたこと──ポイントは3つ
ここでは結果を3つに絞ってご紹介します。
1. 恋をしている脳は「ワクワク回路」が動いている
恋愛感情のなかにいる人の脳をのぞいてみると、「報酬系」と呼ばれる部分がいきいきと活動していました。
「報酬系」というのは、簡単に言うと、「ごほうびを期待しているときに動く回路」です。おいしいごはんを目の前にしたとき、ずっと欲しかったものが手に入りそうなとき、好きな音楽が流れたとき──そういう場面で、私たちの脳はこの場所で「楽しい!」「もっと欲しい!」というサインを出しています。
ここで重要な役割を果たすのが、よく耳にするドーパミンです。ドーパミンは、いわば脳のなかで「ワクワク感をつくる役」を担っています。
つまり、私たちが「ときめき」と呼んできた感覚は、脳の世界で見ると「いいことが起きそう、と期待している状態」と地続きだということが分かったのです。
2. 「ときめき」は選択ではなく、反応として起こる
ここが、私が最も大事だと感じている点です。
このワクワク回路は、私たちが「意志」で動かせる場所ではありません。「あの人に魅力を感じよう」と決めても、感じられるとは限らないのです。逆に、「魅力を感じないようにしよう」と思っても止められません。
たとえば、食べる前の食べものを見て「これ、おいしそう」と感じるのは、頭で計算しているわけではなく、自然に湧いてくる感覚ですよね。「ときめき」も、それと似たような、反射のようなものとして現れます。
つまり、ときめきは「結果としてそうなるもの」であって、「能力としてそうできるもの」ではない。感じなかった自分を責める必要はない、というのが脳科学からの一つの示唆です。
3. 長期関係でも、神経回路は維持される(別の研究より)
「ときめきは結婚すると消える」と言われることがあります。本当でしょうか。
同じフィッシャー研究グループのAcevedoら(2012年)による発展研究では、結婚20年以上のご夫婦の脳でも、恋愛感情のときと同じ「ワクワク回路」がきちんと動いている人がいることが分かりました。
これは、「ときめきは始まりだけのもの」「結婚すると冷める」という通説に対する、ひとつの優しい反証になっています。長く一緒にいる中で、ときめきは消えるとは限らず、形を変えながら続いていく可能性が示唆されています。
これは、私たちの婚活にどう関係するか
研究の話を、私たちの婚活に翻訳します。3つのポイントから、こんなふうに整理できます。
- ときめきは「結果」として起こる反応だから、初対面でなかったとしても、それ自体は「合わない」を意味しない
- 報酬系は会う回数や状況で活性化されることが多いので、何度か会う中でじわじわと育つことがある
- 結婚後にときめきが残るかどうかは「関係性の作り方」に左右され得る。最初の感覚で結婚後を予測できるわけではない
これは、「初対面でときめかなかった人を諦めるべき」と決めつけなくていい、という一つの根拠になります。
もちろん、何度会ってもまったく心が動かない、嫌悪感すらある、というケースは別の話です。「諦めるのは早いかもしれない」という選択肢が増える、という意味で受け取っていただけたらと思います。
私たちアンフィでは、お見合い後の判断について「3回目までゆっくり様子を見てから決める」というご提案をすることがあります。脳科学の言葉で言い直すと、これは「ワクワク感が時間差でやってくるケースを見逃さないための、現場の知恵」だったのかもしれません。
無料相談で何を話すのか気になる方は、はじめての無料相談、本当のところ何をされる?も読んでみてください。

現場で見てきた「初対面でときめかなかった成婚」のお話
私が無料相談やお見合いサポートをしている中で、実際にお会いしてきた方々のお話を、一般化した形でご紹介させてください。
ある30代の女性会員様は、お申込みをいただいた最初の方とお見合いをされて、「悪くないけど、特にこれという気持ちもなかった」とおっしゃっていました。私は「3回目までゆっくり様子を見ていきましょう」とお返事しました。
2回目のお食事のとき、その方が会員様の好きな本の話を覚えていてくれたそうです。そこから少しずつ、「あ、いいなあ」と感じる瞬間が増えていったとのことでした。
成婚されたあと、会員様はこうおっしゃいました。
「最初にビビッと来なかったことを、ずっと悩んでいたんです。でも、いま振り返ると、じわじわと好きになっていったこの感覚の方が、自分には合っていたんだと思います」
これは、脳科学の研究と現場の実感が重なった瞬間でした。「ときめきがあるかないか」の二択ではなく、「いま感じていなくても、これから感じる可能性がある」という第三の余白を、研究も現場も支持しているように思います。
2回目以降のお相手との進め方については、2回目デートでお断りされるのはなぜ?失敗しないコツ3選もご参考まで。
もし「自分の場合はどうなんだろう」と考えてみたい方は、無料相談でお話を聞かせてください。
研究の限界、あえて補足したいこと
公平を期すために、今日ご紹介した研究の限界にも触れておきます。
- フィッシャー氏らの研究は、参加者わずか17名の脳活動を測ったもの。「これが全人類に当てはまる」と断定することはできません
- 主に米国でのデータです。文化的な「ときめき」の定義は、国や時代で揺らぎます
- 「ときめきは選択ではない」のは事実ですが、それは「ときめきは必要ではない」と主張する研究ではないことに注意が必要です
- 反証もあります。たとえば「初対面の印象が長期関係を予測する」というデータも別の研究では存在します
つまり、この研究は「ときめきがない=終わり」という固定観念に反証の余地があることを示しているのであって、「ときめきは要らない」と言っているわけではありません。
研究は答えを出すものではなく、私たちが「ひとつの見方を増やすため」に存在しています。あなたの実感もまた、ひとつのデータとして大事にしていただけたらと思います。
まとめ|あなたの今に持ち帰ってもらえたら
「ときめきがない」と感じた夜にこの記事を読んでくださって、ありがとうございます。
脳科学の話を通してお伝えしたかったのは、たったひとつです。感じなかった自分を、責めなくて大丈夫です。
ときめきは選択ではなく、反応として現れます。今日感じなくても、来週感じることがあるかもしれません。あるいは、ときめきとは別の何かが、ご縁の合図になることもあるかもしれません。
「自分はこういう感覚で人を好きになるんだな」と、ご自分の傾向を観察するくらいの余白で十分です。正しい答えは、研究にも、私たちカウンセラーにもありません。あなたの中にしか、あなたの答えはない。それが、現場で何百人の婚活を見させていただいてきた、私の実感です。
もし「もう少し具体的に話を聞いてみたい」と感じられたなら、無料相談、あるいは気軽なLINE相談からお声がけください。研究の話への感想だけでも、もちろん大歓迎です。
札幌のアンフィで、お会いできるのを楽しみにしております。

📚 引用研究
- Aron, A., Fisher, H., Mashek, D.J., Strong, G., Li, H., & Brown, L.L. (2005). Reward, motivation, and emotion systems associated with early-stage intense romantic love. Journal of Neurophysiology, 94(1), 327-337.
- Fisher, H.E., Aron, A., & Brown, L.L. (2006). Romantic love: A mammalian brain system for mate choice. Philosophical Transactions of the Royal Society B, 361(1476), 2173-2186.
- Acevedo, B.P., Aron, A., Fisher, H.E., & Brown, L.L. (2012). Neural correlates of long-term intense romantic love. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 7(2), 145-159.

