こんなことを感じたことはありませんか?

婚活で相手を選ぶとき、年齢や年収、趣味といった「条件」はどうしても目に入ります。けれど、いざ将来を想像すると、こんな不安がよぎる方が多いのです。
- この人と、何十年も会話を続けていけるだろうか
- 沈黙が多いと、相性が悪いということなのだろうか
- 意見が食い違ったとき、ちゃんと話し合えるだろうか
どれも、とても自然な迷いです。結婚は「出会った瞬間」より「その後の毎日」の方がずっと長い のですから、会話のことが気になるのは、あなたが将来を真剣に考えている証拠だと思います。
実は、こうした「会話と結婚のゆくえ」を、何十年もかけて追いかけた研究者がいます。その研究をやわらかくご紹介します。
今日紹介する研究について
ご紹介するのは、アメリカの心理学者ジョン・ゴットマン博士と、ロバート・レビンソン博士らによる、夫婦の長期追跡研究です。1970年代から、たくさんのご夫婦に協力してもらい、会話の様子を観察しては、数年後にその関係がどうなったかを追い続けました。
驚くのは、その予測の精度です。夫婦が話し合う様子をしばらく観察するだけで、数年後にその二人が一緒にいるかどうかを、約90%の精度で見通したと報告しています(4〜6年後の予測で約90%、7〜9年後で約81%とされます)。
ここで大切なのは、「すごい研究だから従いましょう」ということではありません。観察されたのは、特別なことではなく"ふだんの会話" だったという点です。つまり、私たちの日常の会話の中に、関係のゆくえを左右する何かが隠れている、ということなのです。研究の詳しい考え方は、Gottman, J. M. (1994)『What Predicts Divorce?』などにまとめられています。
研究が明らかにしたこと - ポイントは3つ
たくさんの発見の中から、婚活を考える私たちに役立ちそうな点を、3つに絞ってお話しします。難しく感じる必要はありません。どれも「言われてみれば」と思えるものです。
①ポジティブとネガティブの「5:1」のバランス
ゴットマン博士が見いだした有名な目安に、「マジック・レシオ」と呼ばれるものがあります。安定した関係では、言い争いのような場面でも、ネガティブな関わり1つに対して、ポジティブな関わりがおよそ5つあるとされます。
これは、ケンカをしてはいけない、という話ではありません。意見がぶつかること自体は、どの夫婦にもあります。大切なのは、その合間に「ありがとう」「そうだね」「うれしい」といった温かいやり取りが、ちゃんと積み重なっているか。ぶつかりをゼロにするより、温かさを増やす方が、ずっと現実的 なのです。
②関係を冷やしやすい「4つのくせ」
ゴットマン博士は、関係を壊しやすい会話のパターンも挙げています。日本語では「4つの毒素」と訳されることが多く、次の4つを指します。
- 非難(相手の人格を責める)
- 侮辱(見下す・馬鹿にする)
- 自己弁護(言い訳で守りに入る)
- 逃避(黙り込んで関わりを断つ)
こう並ぶと少しドキッとしますが、誰にでも顔を出すくせです。大事なのは、なくすことより「気づいて、戻ってこられること」。完璧な会話を目指さなくて大丈夫です。
③沈黙そのものより「沈黙のあと」
「沈黙が多い=相性が悪い」と思われがちですが、研究が示すのはもう少しやさしい話です。問題になりやすいのは沈黙そのものではなく、気まずくなったあとに、もう一度どう話しかけ直すか でした。
うまくいくお二人は、すれ違っても、しばらくして「さっきはごめん」「お茶でも飲もうか」と関わりを戻していきます。この"戻る力"こそ、長く続く関係の土台なのだと思います。
これは、私たちの婚活にどう関係するか

ここまでの研究を、婚活の相手選びに翻訳してみます。といっても、「条件を捨てましょう」という話ではありません。条件は、出会いの入口を絞る大切な目安です。
そのうえで、お見合いや交際の中で、もう一つ見てほしい視点があります。それは、「話していて心地よいリズムがあるか」「意見が違っても、やり取りを続けられそうか」ということです。
たとえば、お見合いの場でこんなところを感じてみてください。
- 沈黙があったとき、どちらかが自然に話を戻せるか
- こちらの話を、さえぎらずに聞いてくれるか
- 違う意見になったとき、否定ではなく質問で返ってくるか
これらは、年収や身長の欄には書かれていません。でも、長い結婚生活では、条件以上に効いてくる「会話の体力」 のようなものです。お見合いの場の進め方そのものに不安がある方は、お見合いの流れをまとめた記事もあわせてご覧ください。「こう考える方も増えています」という、一つの見方として受け取っていただけたらと思います。
現場で感じること

カウンセラーとして見ていても、研究の話とつながる場面があります。
たとえば、口数が多くにぎやかなお二人より、お互いに静かでも、相手の話を最後まで聞き合えるお二人 の方が、落ち着いて関係を深めていかれることがよくあります。会話は、量よりも「安心して言葉を置ける空気」があるかどうかなのだと、現場でも感じます。
反対に、条件はぴったりでも、どちらかが相手の話をさえぎりがちだと、交際の途中で少しずつ距離ができてしまうこともあります。これは「どちらが悪い」という話ではなく、会話のリズムが合うかどうか、という相性の問題です。合わなかったとしても、あなたに魅力がないわけではありません。
ときめきや第一印象との関係が気になる方は、「ときめきがない」と感じた夜に、脳科学が教えてくれることもどうぞ。会話の話と合わせて読むと、相手選びの視野が少し広がるかもしれません。
研究を読んで、自分の会話のくせや、相手との相性が気になった方は、無料相談で一度言葉にしてみるのもいいかもしれません。話すうちに、自分が何を大事にしたいかが見えてくることがあります。
まとめ|あなたの今に持ち帰ってもらえたら
ご紹介した研究は、主にアメリカで行われたもので、文化や時代によって会話のかたちは違います。「5:1」という比率も、分かりやすい目安ではありますが、すべての関係にそのまま当てはまる魔法の数字というわけではなく、研究者の間でも議論があります。
- 数字は「およその傾向」として受け取る
- 国や時代が違えば、当てはまり方も変わる
- 大切なのは比率の正確さより「温かさを増やす」という方向性
ですから、この記事の内容を「正解」として握りしめる必要はありません。あなたとお相手にちょうどいいリズムは、あなたたちにしか分からない のですから。
今回お伝えしたかったことを、振り返ります。
- 結婚満足度を分けるのは、会話の量よりバランスと「関わり直し」
- ぶつかりをゼロにするより、温かいやり取りを増やす方が現実的
- 沈黙そのものより、そのあとに話を戻せるかが大事
- 婚活では、条件に加えて「会話のリズム」を見てみる
研究はあくまで地図のようなものです。実際に歩くのは、あなた自身です。会話は、生まれつきの才能ではなく、相手とつくっていくものです。だからこそ、いまの自分を責める必要はありません。
「この人と話していると、なんだか落ち着く」。その感覚を、相手選びの大切なものさしの一つにしてみてください。あなたのその感覚を一緒に言葉にするお手伝いを、私たちはいつでもしています。
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